2020年12月29日

しかくの『爺さんと僕の事件帖』

1から4巻まで。


[まとめ買い] 爺さんと僕の事件帖


中寺逸実は小学5年生。早くに両親を亡くし、施設で暮らしていたのだが、二年前に実の祖父に引き取られ、大月市で一緒に住むことになった。日常で起こる事件を、逸実が同級生とともに、そして祖父の助言を得て解決していくという推理もの。

連載期間は1999年から2003年。大麻栽培、実子虐待、サイコパスによる殺害など、今でも変わらず起こっている犯罪。一方で、プールの水がなくなる事件は、犯人の動機がちょっとかわいらしかった。本を探す話は、小学生でここまで考えてここまで行動するなんて!と驚いた。

絵がきれいだし、話も面白い。祖父はいつも着物を着ていて、家も素敵。失われていく日本の風景を思った。単行本未収録の作品があるというのは残念だ。




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2020年12月28日

佐藤マコト『【極! 合本シリーズ】サトラレ1巻』

合本シリーズで最後まで読んだ。一話目はSFラブコメって感じで、あまり私の好みではないかなと思ったのだけど……。


【極!合本シリーズ】 サトラレ1巻


他人の思っていることがわかってしまう超能力者の話は以前からあるが(筒井康隆の七瀬とか)、これは、自分の思っていることが周りに知られてしまう人々の話。そして彼らはみな天才的な頭脳を持っている。

彼らの才能は国の発展に利用できるということで、国が本人たちには知られないように常に警備している。子供の場合は一家全員で、サトラレ対策が施された特別な町に住む場合もある(『トゥルーマンショー』をちょっと思い出した)。

話がすごすぎて、私の頭ではこんがらかる。普通の人はサトラレの思念を受け取ることができるのだが、なかにはそれのできない人もいる(私はたぶんこれなんだろうな)。

4巻には『サトラレneo』が二冊分収録されている。


【極!合本シリーズ】 サトラレ4巻


サトラレの西山光は母親と二人で孤島で暮らしている。他の人たちに思念を読みとられないようにするため。

引用
ネットの発達した現代では
会社の会議や取引商談から
学校の授業までが
ネットケーブルを介し
行われはじめた


おー、これは現在の状況では!

引用
そしてそれは
現代社会での
コミュニケーションの
主流になりつつあった

(中略)
また 望む望まないは
別にして光のような生活スタイル
「直に他人と合わない」
という形はめずらしい事ではなくなった


ネットは遠くの人ともすぐにやりとりできるから便利だけど、直接会って話せる社会に早く戻ってほしい。

地震が起こって爆発って、現実世界でも起こった。

サトラレの恋人がいる美咲が文学賞を受賞し、先輩からお祝いの指輪をもらう話がとても印象に残った。先輩は後輩に嫉妬することなく、心からのお祝いとして、自分の持っているお金の範囲で指輪を買った。アクセサリーにあまり詳しくない先輩は、サイズや材質のことなどよくわかっていなかった。それだけのこと。金額でははかれない、尊い大切な気持ち。

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posted by ごー at 02:24| Comment(0) | 読書記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月24日

寺沢大介『【極! 合本シリーズ】ミスター味っ子1巻』

主人公の味吉陽一は中学生。母と二人で、父が残した大衆食堂「日之出食堂」を営んでいる。日本料理人会のドン、村田源二郎(味皇)と出会ったことがきっかけとなり、味皇の直弟子でイタリア料理部の主任である丸井とミートスパゲティ対決をすることになる。独自の創意工夫で、食通の大人たちをうならせる陽一。


【極!合本シリーズ】 ミスター味っ子1巻


その後も陽一は、町内ラーメンコンテスト、少年料理人とのチキンカレー対決、ステーキコンクール等で活躍。

チキンカレー対決で、相手の子は鶏肉をヨーグルトに漬け込む。今では私も普通にやっていることだけど、この漫画が発表された1980年代に読んでいたら、私には衝撃だっただろうなあと思う。

一方の陽一は、パイナップルの中身をくりぬいたものをカレーの容器にするという斬新さ。中身は捨てずに、食後のデザートにすればよいと思うが。

ステーキコンクールは輸入牛肉販売促進のためのもの。司会者曰く「現在残念ながら 輸入牛肉はその安さの割に あまり食べられておりません」とのこと。今ではスーパーマーケットに行くと、アメリカ産、オーストラリア産など普通に並んでいて、ファミレスの牛肉もたいてい外国産だと思われるが、1980年代は家でも外でも国産が普通だったのだろう。もしかして、昔の食卓の方がいろんな意味で豊かだったのかもしれないなあと思ったり……。

陽一はステーキ肉に脂身を挟むことを思いつくのだが、現在ある牛脂注入肉を、手作業で作っでみたという感じかな? そこまでしなくても、塩こしょうして焼くだけで、どんなものでもおいしいと思うのだが。人間の欲望は果てしない……。

一つ気になったのは、生意気なことを言う年下の子に対して、主人公が「このガキゃ いっぺん殺したろーか」とつぶやくところ。少年漫画でこれはないなあ。主人公がんばれー!と思いながら読んでいたのに、一気に心が寒くなってしまった。

この漫画の雑誌連載が始まったのは1986年とのことだが、この頃、私の食生活が大きく変わったのを覚えている。スパゲッティといえばナポリタンかミートソースだけだったのに、ボンゴレとかたらこ、明太子のスパゲティが登場した。カマンベールチーズやキムチというものを初めて食べたのもこの頃。サーモンの寿司や納豆巻きを初めて食べたのもこの頃かな。食の多様化は面白い反面、なんだか面倒くさいなあとも思う。

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posted by ごー at 05:39| Comment(0) | 読書記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする