2021年03月30日

およげたいやきくん

ここ一年、一日に少なくとも一回は「これは世界の終わりだ」と口にしてしまう。本当に絶望的な気持ちになっている。

先日も、夫が話してくれた世界の動向について、「これは世界の終わりだ!」と言ってしまった。

「なんでいつも同じことを言うの? まいにちまいにち……」と夫がうんざりしたような顔で言うので、
「まいにちまいにち、ぼくらはてっぱんの〜」と歌ってみたけど、特に面白いとは思ってもらえなかった。

「およげたいやきくん」はよくよく考えてみると不思議な内容である。






「まいにちまいにち、ぼくらはてっぱんの、うえでやかれて、いやになっちゃうよ」
たいやきは焼きあがったら売られて、誰かのおなかに入るものなのに、まいにち焼かれるとはどういうことだろう。この「いやになっちゃう」と語る意識は、のちに海に逃げ込むたいやきくんだけのものではなく、おじさんの店で焼かれるたいやき全体の意識ということなのだろうか。

店のおじさんとけんかしたたいやきくんは、海に逃げ込む。これは、神との約束を破り、楽園を追放されたアダムとイブを想起させる。たいやきくんは自らの意思で逃げ出すという点が異なるが。

海での生活はなかなか快適である。海は広くて、サンゴは美しいし、住むところにも困らない。さめがいじめてくるけど、逃げればいい。

楽しい生活も、釣り人によって釣り上げられることで終わりを迎える。釣り人はたいやきくんをうまそうに食べてしまう。しかし、海水でふやけたたいやきは、おいしいものなのだろうか。

繰り返される日常を離れて得た、永遠とも思われるような、しかし結果としては儚い、自由な時間。最後に待っているのは死。いや、たいやきくんは釣り人の胃の中で消化され、栄養分となり、新たな生命を得るのであろうか。

子供の頃は上に書いたようなことはまったく考えず、前髪のあるたいやきくんはかわいいなあと思っていただけだった(今よく見ると、たいやきなのに腕がある!)。

食べ物が逃げ出したけれど、最後には食べられてしまうという物語は、欧米では珍しくないようだ(「The Gingerbread Man」「Колобок」など)。














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posted by ごー at 17:02| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年03月28日

最近買ってよかったもの

それは水切りワイパー(スクイージーともいう)。

床掃除をする時、まずほうきで掃いて、クイックルワイパーをして、時には雑巾で水拭きをするのだが、それでも手でさわるとざらっとしたものが残っている。

ということは、最初から手の感触に近いものでこすればいいのではないか。家に窓掃除用の道具があったので、これのゴムの部分で床をなでたら、すーっとほこりが集まってきた。

これはいい方法を見つけた。でも、もうちょっと手軽な感じのものがほしいかな。

そこでホームセンターへ行って、水切りワイパーを買ってきた。

IMG_2161.jpg


↑右上のが新しく買ったもの、左下のが以前から家にあったもの。

ほうきで掃いたあと、ラジオでも聴きながら水切りワイパーで床掃除。ごみの中に固い砂粒などが入っていると、床に傷がついてしまうから、最初は軽くなでるように、そしてあとから強めにこする。

机の上や棚板の上も、これでなでればほこりがとれる。今までは雑巾で拭いていたのだが、ほこりのついた雑巾を洗うのは面倒くさい。水切りワイパーだとほこりを取ってから水で洗うだけできれいになるので、とても簡単。水分を拭き取れば、またすぐに使えるし。

この道具に切れ込みを入れて使うことを提案している人もいる。なるほど!



私は風呂掃除や窓の掃除にも使いたいので、切れ込みを入れないで使っています。

なぜもっと早くこの方法に気づかなかったのだろう。集まったほこりが目に見えるから、やりがいもある。

しかし、このように掃除をしたあとでも、ツカモトくん(ツカモトエイムのロボット掃除機)を走らせるとまだほこりが集まってくる。不思議だ……。

これのミニチュア版があったら、机の上やパソコンの掃除も手軽にできるのだけどなあ、と考えていたら、こんな商品を見つけた。






かわいいし便利そうだ。池袋か渋谷に行く用事ができたら、買いに行くかな、なんて思っていたら、東急ハンズ池袋店は今年の9月下旬に営業終了するのだとか。

中高生の頃、人形作りに情熱を傾けていた時期があって(←そういうことをしている暇があったら、学校の勉強をするべきだったと今では思う)、材料は家にあるもの(古い布団の綿、着なくなった服など)を使ったり、近所のキンカ堂(この店もなくなってしまった。キンカ堂は池袋にもあった)で調達していた。ある日、一人で映画を見に池袋へ行った時、初めて東急ハンズに行ってみて、そこに売られているものに驚いた。人形製作用の粘土や髪の毛や目が売られているのだもの。他にも見たことのないおしゃれな文房具などがたくさんあった。どれも自分の家の近所ではお目にかかれないものだ。東京にはなんでもあるのだなあと驚いた。

そのような驚きを与えてくれた、当時の私にとっては夢のような場所だった東急ハンズ池袋店がなくなってしまうのは、たいへんさみしいことである。閉店までに一度くらいは行けるかな、「ほこりトリ」を買いに……。





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posted by ごー at 04:12| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年03月25日

目黑峯人『動物園水族館閉鎖』

最近の動物園は各動物が住まう敷地が広かったり木が植えられたりしていて、昔ほど住みづらくないのではと、私は思っていた。それに、動物園に住んでいれば天敵に狙われることもなく、食事にありつけないということもなく、もしかして野生で暮らすより呑気でいいのではないのかなとまで思っていた。






著者は日本中の動物園と水族館をまわり、動物たちの様子を調査した。その結果をまとめたのが本書である。

病気になっても、怪我をしても、他の動物から攻撃されても、放っておかれる動物たちがいる。そもそも、ここから逃れることはできない。

自然の中で自由に暮らしていて、ある日捕らえられ、家族や友達から引き離され、狭いところに閉じ込められる。健康体だったとしても、確実に心の病にはなるだろう。心が弱れば体も弱る。いつここから出られるのかな。お母さんは、きょうだいは、どこへ行ってしまったのかな。

パンダはわりと大切にされている方かもしれないが、気が合ったというわけでもない男のものを人工授精させられる。身に覚えがないのに、ある日おなかが重くなっているのだ。これは他の動物もやらせられている。乳牛などは一生これを繰り返させられ、子供を産めなくなったら肉用として出荷される。

日本のイルカ漁には、水族館のイルカトレーナーたちも参加しているのだそうだ。捕らえられたイルカたちは、若くて見た目がきれいでおとなしそうなのは水族館等へ売られる。残りは食用、それから軍事用として外国に売られる。

この本に書かれているような現実を人は知るべきだと思うけど、子供も知った方がいいのかな? もし私に子供がいたら、動物園にも水族館にも連れていきたいだろうし、丈夫な体になるように肉料理も食べさせることだろう。もしかしたら、肉を食べないと栄養が足りなくなるというのは思い込みに過ぎず、本当は何の問題もないのかも?

人間も動物も生まれた時点で、「地球」という檻の中に入れられてしまっているのかもしれない、という考えも浮かんできた。食べなければ死ぬ。死なないためには他の生き物を食らわなければならない。毎日繰り返される地獄絵図。その「地球」という檻の中の様子を、誰かが観察している。毎日写真を撮って、観察日記をつけている……。すべての生き物が、草と果実を食べるだけで生きていければよいのに……。

私は去年の6月に、牛と豚を食べるのはやめた。豚を食べるのは数年前から減らしていたのだったが、家族が買ってくる生ハムや、屋台のソーセージ、ラーメンにのっているチャーシューなどは食べていた。今は外食にはほとんど行かないので、食べずにすんでいる(先月、外食で担々麺を食べてしまったが)。10月からは、家で飲むコーヒーに牛乳をいれるのをやめた。それまでは、家の冷蔵庫には常に牛乳が入っていたのだが、なくても大丈夫だということがわかった。

肉を食べるのをやめたいと25年くらい前から思っていて、毎年元旦に「今年は肉を食べない!」と決意するのだが、なかなか難しかった。特に牛肉は「ごちそう」であるという子供の頃からの思い込みがあり、食べないと損なような気がしていたのだった。しかし、昨年からの生活の変化でやっと、豚と牛については実現することができた。鶏と魚類を食べるのも徐々に減らしている。靴やバッグは革のものが長持ちするし、絹も手触りがいいから好きなのだけど、今あるものを大事に使って、新しいものは買わないようにする。

動物園、水族館は、誰かに誘われたら行くかもしれないけど、自分から行くことはもうないかもしれない。

↓2011年3月12日、上野動物園。こうやって閉じ込めておくのは倫理的にどうなのかと、私が初めて疑問に思った日。本人たちに無断でこうして写真を載せるのも、本当はよくないことなのかもしれない。

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posted by ごー at 05:51| Comment(0) | 読書記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする