2025年09月06日

読書記録 河上肇『貧乏物語』

河上肇『貧乏物語』

1947年9月5日 第1刷発行
1965年10月16日 第30刷改版発行
2008年4月24日 第70刷改版発行
2009年9月4日 第71刷発行

岩波書店
236ページ 本体600円+税






この本はいただいたもので、当時の価格は本体600円でしたが、今買うと電子書籍が726円、紙の本は858円です。600円代だと外でお茶するのを一回我慢してちょっと買ってみようかという気にもなりますが、800円超えてしまうと買うのをためらってしまいます(←私の場合。けちくさい)。最近は文庫本も高い! 本文だけなら青空文庫で読めます。






青空文庫には大内兵衛の解題がないのですが、この解題を読むと、当時の雰囲気や著者河上肇について知ることができます。

『貧乏物語』という題名から、貧しい少年あるいは青年が貧乏で苦労した話かと私は勝手に思っていましたが、全然違っていて、イギリスの資料をもとにした貧乏の実態、なぜ貧乏な人がいるのか、そしてその解決策について述べられた論文です。現代にも通じるところがたくさんあります。

著者が考える貧乏撲滅の策は「富者の奢侈廃止」なのですが、これはどうなのでしょうか。金持ちがぜいたくをやめることによって失われる技術や文化があるのでは?と私は疑問に思います。作るのにお金や時間のかかる着物や装飾品、絵画、建築、料理など。そういうのはなくてもいいのだと言われればそれまでなのですが。たとえば、エジプトの王様たちがピラミッドを作るのをやめなかったら、その技術は現代にも伝わっていたのかもしれないと考えると、ちょっともったいなかったかなと考えてしまいます。

著者が知人から聞いた話として書かれている逸話が印象に残りました。ある田舎のお嬢さんが雑貨屋で化粧品を買う話です。お嬢さんは店員の口車に乗せられて、一番高い化粧品を買ってしまうのです。これは今でも十分にありうる話で、こわいことだと思います。

いわゆる夏日は流汗し冬日は亀手する底の百姓の娘が美顔料などを買って行く愚かさもさることながら、私はかかる貧乏人の無知なる女を相手に高価なぜいたく品を売り付けて金もうけすることも、ずいぶん罪の深い仕事だと感じた。


この著者の友人は若い女性の気持ちがわかっていらっしゃらない。少しでも見栄えをよくしたいと思う人々はいて、そのためには努力やお金を惜しまない人々もいるのです。その見栄えをよくしたいという気持ちが、他者の目を意識している場合もあるけれど、自分に向けられた場合もあり、どちらにしろ自分の見栄えをよくすることによって心が明るくなり日々の生活が楽しくなるのなら、それはいいことなんじゃないかと私は思います。しかし、高価な化粧品に効果があるかどうかは別の話で、これは買う側が賢くならないといけない。そこにお金を遣う価値はあるのか、よく考えないといけない。難しいことだけれど。

付録の「ロイド・ジョージ」も興味深く、世の中にはこんな偉い人がいるのかと驚かされます。そしてこの人のおじさんがまた素晴らしい。

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posted by ごー at 23:53| Comment(0) | 読書記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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