安房直子
昭和55年6月15日第1刷発行
昭和59年10月31日第9刷発行
講談社
講談社文庫
定価340円
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挿絵は味戸ケイコ。
確か、小学校の国語の教科書に『きつねの窓』が掲載されていて、この作家は他にどんなものを書いているのだろうかと興味を持ち、この文庫本を買ったのだったと思います。
小さなお話が12篇。これらは、童話、と言っていいのでしょうか。『きつねの夕食会』は童話かなと思いますが、他のはどうでしょう?
『きつねの窓』など、学校で読んだ時は面白いけれど、私もそんな窓がほしいと思いましたけれど、それだけでした。今読むと、もっと心がしめつけられるような気持ちになります。それだけ歳をとって、もう二度と見られない、けれどまた見たい風景が増えたということなのだと思います。
どれも空想の世界のありえない話ですが、ありえないとも言い切れず不思議な感じ。これは何なのだろうと思っていたら、西本鶏介氏の解説に書いてありました。少し長いですが、引用。
ファンタジーの魅力は、現実で見ることのできない、もう一つの国への、すばらしい旅を約束してくれることです。ありふれた日常性から最も自由な場所で、人間の真実の姿をいきいきと見せてくれることです。
そこでは、人間にとってのあらゆる夢の実現が可能であり、不思議すぎる出来事さえも事実として体験できます。無限のイメージと豊かな表現によって創造される第二の世界は、わたしたちの住む第一の世界以上の確かさで人生の深淵をのぞかせてくれます。
安房さんは、この第二の世界を描くことのできる、わが国では最もすぐれた童話作家の一人です。(中略)不思議な架空物語に見えても、ナンセンシカルなウソとは違う実人生の真実を見事に象徴させていて、それ故、大人までも共感させずにはおかない手ごたえを与えるのです。
しかし、実人生とは何でしょうね。私は自分の実人生がすべてウソであったらよいのにと思います。
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