2026年08月01日

読書記録 佐々木倫子『食卓の魔術師』

食卓の魔術師
佐々木倫子
1984年12月25日 第1刷発行
1986年1月15日 第5刷発行
白泉社
186ページ 定価360円






今から40年前、朝日新聞の書評欄で、この『食卓の魔術師』が紹介されていたのです。漫画が紹介されているのが珍しかったし、主人公の名前が私の弟の名前と似ていたので興味を持ち、本屋へ買いに行きました。

これがとても面白くて、それ以降、佐々木倫子さんの漫画は『動物のお医者さん』までは全部買いました。『動物のお医者さん』は単行本になるのが待ちきれず、『花とゆめ』を買って読んで、単行本になってからまた買って読むという具合でした。

この本に掲載されているのは「ちょっとだけハードボイルド」「コレクター」「食卓の魔術師」「エプロン・コンプレックス」「プラネタリウム通信」「佐々木倫子の趣味の講座 乗馬」です。最初の三つが黒田勝久を主人公にした「忘却シリーズ」。「エプロン・コンプレックス」は著者のデビュー作で、料理上手な男子大学生の苦悩を描いたもの。「プラネタリウム通信」は衣服製造販売会社に勤める女性が主人公です。

「忘却シリーズ」の主人公である黒田勝久は高校生で、三人兄弟の末っ子。勝久には人の顔を覚えられないという特徴があり、そのためにさまざまな面倒ごとが起こるのでした。私も人の顔を覚えられない、というより正確に言うと、眼鏡をかけていても自分の目に見えているものに自信が持てないので、勝久の気持ちはちょっとわかります。勝久の高校には戸川滋比古という生徒がいて、この人は過去に傷ついた経験から(傷つけたのは勝久だが、勝久本人はこのことに気づいていなかった)人間嫌いになってしまったのですが、私はこの人の気持ちもよくわかる。

しかし、何度読んでも面白い。

佐々木倫子の漫画は登場人物が着ている服もすてきで、私も将来はこんな服を着るのだ!と思ってましたが、私は美的センスもお金もないので、おしゃれな服とは縁のない人生でした。とほほ。

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ラベル:読書記録 漫画
posted by ごー at 23:55| Comment(0) | 読書記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2026年07月29日

読書記録 安房直子『南の島の魔法の話』

南の島の魔法の話
安房直子
昭和55年6月15日第1刷発行
昭和59年10月31日第9刷発行
講談社
講談社文庫
定価340円






挿絵は味戸ケイコ。

確か、小学校の国語の教科書に『きつねの窓』が掲載されていて、この作家は他にどんなものを書いているのだろうかと興味を持ち、この文庫本を買ったのだったと思います。

小さなお話が12篇。これらは、童話、と言っていいのでしょうか。『きつねの夕食会』は童話かなと思いますが、他のはどうでしょう?

『きつねの窓』など、学校で読んだ時は面白いけれど、私もそんな窓がほしいと思いましたけれど、それだけでした。今読むと、もっと心がしめつけられるような気持ちになります。それだけ歳をとって、もう二度と見られない、けれどまた見たい風景が増えたということなのだと思います。

どれも空想の世界のありえない話ですが、ありえないとも言い切れず不思議な感じ。これは何なのだろうと思っていたら、西本鶏介氏の解説に書いてありました。少し長いですが、引用。

 ファンタジーの魅力は、現実で見ることのできない、もう一つの国への、すばらしい旅を約束してくれることです。ありふれた日常性から最も自由な場所で、人間の真実の姿をいきいきと見せてくれることです。
 そこでは、人間にとってのあらゆる夢の実現が可能であり、不思議すぎる出来事さえも事実として体験できます。無限のイメージと豊かな表現によって創造される第二の世界は、わたしたちの住む第一の世界以上の確かさで人生の深淵をのぞかせてくれます。
 安房さんは、この第二の世界を描くことのできる、わが国では最もすぐれた童話作家の一人です。(中略)不思議な架空物語に見えても、ナンセンシカルなウソとは違う実人生の真実を見事に象徴させていて、それ故、大人までも共感させずにはおかない手ごたえを与えるのです。


しかし、実人生とは何でしょうね。私は自分の実人生がすべてウソであったらよいのにと思います。

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ラベル:読書記録
posted by ごー at 14:37| Comment(0) | 読書記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2026年07月21日

読書記録 くらもちふさこ『わずか1小節のラララ』

マーガレット・コミックス 482
わずか1小節のラララ
1980年5月30日 第1刷発行
1981年1月30日 第8刷発行
著者 くらもちふさこ
編集 白泉社
発行人 堀内末男
発行所 株式会社 集英社
179ページ 定価360円






いろんな漫画が好きですが、何か一冊だけ手元に置いてもいいということになったら、これを選ぶかな? 漫画だから音はないのに、音が聞こえてくるような気がします。それは同じ作者の『いつもポケットにショパン』にも言えることなのですが。

『いつもポケットにショパン』に出てくる曲はクラシックなので、自分の頭の中でその曲を演奏させることができますが、『わずか1小節のラララ』で流れる曲は、どんなものなのかはわからない。それでも音が聞こえてきそうな気がするのは不思議です。





高校生の三輪倫子は、学校で「ミスでくのぼう」と呼ばれています。

無口で 陰気で 魅力ゼロ
なにを やっても でくのぼう
しかたないわ それがわたしの 性格なのだもの


あー、これ私のことではないか、と思う。しかし、倫子にはピアノ演奏という特技があり、校内の人気バンド蘭丸団のギタリスト佐藤ちゃん(女子に大人気)に似ているというのだから、容姿もいいのでした。

それでいろいろあって、倫子は佐藤ちゃんに演奏をほめられ、蘭丸団に加わることになるのでした。

昭和50年代の漫画だけど、登場人物たちのスタイルがよく、服はおしゃれで、倫子も含めてみな大人っぽく、こういう高校生は実在するのだろうか、実在したのだろうかと疑問に思いますが、漫画なので……。

そして佐藤ちゃんがかっこいい。とにかく音楽が大好きで、人には優しい佐藤ちゃん。私も佐藤ちゃんのような人に出会いたかった。

2016年発行のデジタル版には、紙版にはない「わずか45回転のイブ」が収録されています。これは紙の本では「ハリウッド・ゲーム」の第2巻に掲載されていたものです。






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posted by ごー at 14:32| Comment(0) | 読書記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする